本会の放射能汚染下での救護活動の目安線量は、公衆被ばく限度線量の1mS/年としております。この限度線量を守っても多くの動物の救護活動ができます。
国際放射線防護委員会(ICRP)は世界中の放射線影響や防護に関する研究者がさまざまな科学的証拠を持ち寄って人の放射線被ばくの影響について論議して、安全な放射線量を勧告しています。日本はICRPの勧告にしたがって、放射線の防護基準値を設定しています。一般の人、すなわち公衆の被ばく線量限度は1mSv/年とされています。これは、人で放射線障害が見られはじめる100mSvの100分の1の線量、放射線を使う職業人の線量限度の20mSv/年よりも非常に低い量です。
公衆被ばく線量限度を基準に救護活動を想定すると、たとえば放射能汚染が起きた最初の1ヶ月間に、救護活動によって0.5mSv被ばくしても、残りの11ヶ月間の被ばく線量を少なくして、結果として1年間の被ばく線量が1mSvになるように調整すればよいことを意味しています。福島の汚染地域の線量率から、かなりの救護活動ができることになります。
さらに、今回のような汚染事故時の非常措置として、補助的に5年間の被ばく線量限度は5mSvとされています。これは、計算上は1mSv/年と同じですが、5年間のうち、たとえば最初の1年間に2mSvを被ばくしても、残りの4年間の被ばく量を3mSvに抑え、結果として5年間の総量が5mSvになればよい、すなわち1年間の平均線量が1mSv/年であればよいことになります。この考え方に従えば、もっと長い救護ができることになります。いずれにしても、本会は公衆被ばく線量を救護活動時の線量限度としましたが、福島の事故をみますと、多くの伴侶動物を救えるだけでなく、避難後の保護活動ができます。