体内汚染を起こした人に対しては、体内摂取された放射性物質の沈着阻止や体外排泄を促進して内部被ばくを軽減する効果のある防護剤や体内除染(体外排泄促進)剤が国や自治体に備蓄されている。たとえば、放射性ヨウ素の甲状腺被ばく防護のための安定ヨード剤(服用)、放射性セシウムの体内除染剤であるプルーシアンブルー(服用)、プルトニウムの体内除染剤のDTPA(注射投与)などがあり、医薬品として認可されている。これらの薬剤の効果は、投薬時期によって大きな差があり、副作用が起きる可能性もあるので専門医師によって適用される。現状では、適正に使用された安定ヨウ素剤をのぞき、体内から放射性物質を完全に追い出す効果は認められていない。また、放射能や放射線を消し去る薬剤や高い効果の放射線防護剤はほとんどない。いずれにしても、これらの薬剤は人に適用するのが目的で開発されたもので、伴侶動物や家畜用の体内除染剤は準備されていない。体内除染剤の投与は、かなりの体内汚染が起きている個体に適用するので、専用の施設、個体の健康や飼育管理、排泄物の処理など放射線管理や二次汚染の防護などの特別な措置が必要となる。動物の治療に関しては、今後の検討課題である。
獣医師/ボランテイアの方へ
- 2024.01.11
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